僕が今注目している銘柄の1つ『CRIミドルウェア』が24日、無担保転換社債型新株予約権付社債の発行をIRニュースにて発表しました。一体何者なのか僕もよくわからなかったので調べたものをまとめます。
無担保転換社債型新株予約権付社債とは
長い名前ですが分解して考えるとギリ理解できそうです。
まず『社債』とは何か、をおさらいです。
社債とは?
ある会社が発行している債券のこと。(国が発行しているものは国債)
債券とは?
貸したお金を返してもらう権利(債権)を持っているという証。
「○◯年△△月に利子つけて返すからいくら貸して」
という会社に対して
「その条件なら貸してもいいか」
と話がまとまれば、お金を貸してくれた人にそれと引き換えに渡す券のようなものとイメージすればわかりやすいと思います。(実際は電子化されているので実物の券がある訳ではないのですが)
余談ですがこの「お金を返してもらう権利」はものによっては売買ができます。
100万円のお金を貸して、1年後に利子込みで105万円が返ってくる債券を誰かに103万円で売れたら、売った人はその時点で3万円利益が出ますし、103万円で買った人も1年その債券を保有すれば2万円利益が出ます。
そうして債券も株と同じように市場の中である程度価格が変動していきます。
脱線しましたがこれを踏まえて少しずつ肉付けしていきます。
無担保社債とは
担保を持たない社債のこと。
社債を発行するというのは平たく言えば借金するということです。
通常お金を借りるには、ある程度の担保、つまり返済してくれなくなった時にお金の変わりに巻き上げる何かが必要です。
例えばあなたがローンを組んで家を買う時、その家そのものが担保になることが多いです。
ですがこうした上場企業の場合は、様々な条件を満たせば担保がなくてもが社債を発行してお金を借りることが可能になります。
転換社債とは
転換社債の正式名称が「転換社債型新株予約権付社債」なんだそう。
予め決められた条件の中でその会社の株に変えることのできる社債のこと。
メリットは「株に転換して、その後株価が上がれば上がるほど利益が大きくなる」こと。
転換せず普通に利子を受け取るより利益が大きくなる可能性を秘めています。
他の資金調達方法と比べてメリットは?
公募増資と比べて
メリット:株価の希薄化をある程度防げる
公募増資とは「新しく株式を発行してそれを不特定多数の投資家に買ってもらう」事を言います。
基本的に企業がこれを実施した後、短期的には株価は下がる事が多いです。
株式会社というのは、株主から集めたお金を使ってビジネスをし、利益が出たらそこからある程度株主に還元していくというのが原則です。
100人の投資家が投資しているある会社に、ある日突然別の100人が投資するとなったら、これまで100人で分け合っていた利益を200人で分けることになるため、1人1人の取り分が少なくなります。
結果的に「その会社の株を持っていても今までよりうま味がないから、もうこの株は売ろう」という投資家が出てきます。
最近の例では、日本航空が公募増資による資金調達を発表し、その翌日株価は暴落しました。
株の希薄化率がわかればどれくらい下落するか大雑把に予想できる
新しく株が発行されることにより、既存の株の価値が下がる事を「株の希薄化」といいます。
新しく発行される株数がわかれば、計算上どれくらい株が希薄化するか(希薄化率)がわかります。
例えば100株発行していた会社が新たに20株を発行したら希薄化率16.7%です。
一つの目安として、増資が発表された翌日の株価はこの希薄化率程度下落する事が多いです。
上に例を出した日本航空の場合、今回の増資による希薄化率が約23%ですので、一時的にストップ安付近まで下落したのも納得できるかと思います。
ただし、増資というのは企業がビジネスを行う上で必要な資金を調達しているということですから、これからその資金を使って利益を大きく伸ばす事が期待される場合などは、むしろ株価が上昇する可能性もありますので、必ずしも増資=株価下落ではないことにご注意ください。
転換社債が希薄化をある程度防げる理由
転換社債も将来的な株数増加につながるので、結果的にある程度株が希薄することは免れません。
ですが、全ての社債を必ず株に転換する必要はないため、株の希薄化は社債が転換され新たに発行された株数の範囲に限定されます。
更に株への転換が複数回に分けて実施された場合は、その分希薄化の時期が分散することになるため、一度に新株を発行して投資家を募る公募増資と比べ相対的には希薄化への懸念が少なくなります。
金融機関からの借入と比べて
メリット:財務状況の健全性を保てる
借金をすると、手元のお金は増えますがその全額が原則として「負債(将来返済しないといけないお金)」としても計上されます。
感覚的にも、借金が多い会社と聞けば「そんな会社に投資して大丈夫かな?」となりますよね。
負債が増えれば自己資本比率や流動比率など、財務面での健全性を示す数字が悪くなりますから、もしその状態で経営が苦しくなり更にお金を借りなければいけなくなった時「返してもらえなくなる可能性があるのでこれ以上お金は貸せません」と言われてしまうかもしれません。
社債の発行も借金ですのでこれでお金を得た場合も負債が計上されますが、社債から転換された株は「純資産(返さなくていいお金)」として計上されるため、株への転換が進めばそれだけ財務の健全性も向上することになります。
CRIミドルウェアの株価を確認してみます
まずCRIミドルウェアのIR情報によると、この転換社債による株の希薄化率は「最大で7.79%」とされています。
これを踏まえてチャートを見てみましょう。
転換社債の発行が発表された翌日(25日)のローソク足の形に注目です。
寄り付き後は前日の終値2295円に対して、一時的には–7.36%の2126円まで下落しています。
大体理論通りの下落である事がわかりまます。
しかし最終的には前日比-3.05%の2225円まで値を戻しています。
加えてこの日の出来高は前日よりも多いです。
以前の記事(CRIミドルウェア (3698) 株価の推移と今後 – 遅咲きのWithコロナ銘柄?-)でも取り上げましたが、この銘柄は現在上昇トレンドの中にあります。
こうした材料で一時的に株価が下落したところを積極的に狙う投資家が多かったという事ではないでしょうか。
この考えが正しければしばらく株価は揉み合いが続くかもしれませんが既に保有している人は放置でいいはずですし、気になっている人に取っては明日以降買い向かうのはありだと思います。
まとめ
A:無担保で発行される、株に転換できる社債。
Q:CRIミドルウェアの株価は今後どうなりますか?
A:もうしばらく上昇トレンド維持してくれると予想してます。
自分が保有している、または注目している銘柄の株価が大きく動いた時は、投資家の心理をくすぐるようなニュースが出ていないかチェックした方がいいですね。
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